甲状腺

甲状腺とは?

甲状腺は前頸部、のどぼとけのすぐ下に蝶々が羽を広げたような形をしています。甲状腺ホルモン(T3、T4)という生きていくのに不可欠なホルモンを作っています。甲状腺ホルモンは1.代謝を高める2.交感神経を刺激する3.胎児・小児の成長を促す、といった働きがあると考えられています。
つまり甲状腺ホルモンは元気の源になるようなもので、働きが良くなりすぎると脈が速くなり、汗をかきやすくなり、体温が上昇し、食べても太らなくなります。逆に働きが悪くなると脈が遅くなり、体温が低下し、むくみやすく、活気がなくなります。

甲状腺と脳下垂体

甲状腺は脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって甲状腺ホルモン分泌を調節されています。

甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモン

甲状腺ホルモンの分泌が低下すると、脳下垂体はそれを感知して甲状腺刺激ホルモンの分泌を増やし、逆に甲状腺ホルモンの分泌が亢進すると脳下垂体は甲状腺刺激ホルモンの分泌を減らします。
このように甲状腺の機能を調べるにはT3、T4、TSHのバランスをみることが必要です。

甲状腺の病気による症状

甲状腺の働きが良くなりすぎるときの症状
動悸、息切れ、発汗増加、体重減少、手の震え、倦怠感、眼球突出等
甲状腺の働きが悪いときの症状
むくみ、寒がり、便秘、集中力低下、脱毛、肌の乾燥等
共通の症状
前頸部の腫れ(甲状腺の一部が腫れているときは腫瘍の可能性も考えられます)

甲状腺の検査

血液検査- T3、T4、TSHの値を調べたり、種々の甲状腺の病気がないか抗体検査を行います。
超音波検査(エコー)-人間の耳には聞こえないような高周波(超音波)を用いて、人体内部の構造を画像化します。検査用ゼリーを用いますが痛みはありません。
エコー下穿刺吸引細胞診-腫瘍の中にいる細胞を採血と同じくらいの太さの針を刺して採取します。採取した細胞がどのような種類の細胞かを検査で調べます。1回で診断がつかない場合は日を改めてやり直すこともあります。

甲状腺の病気の治療

甲状腺の病気の治療薬には低下した甲状腺ホルモンを補う甲状腺ホルモン薬と、機能亢進した甲状腺の働きをおさえる抗甲状腺薬の2種類があります。
病気の診断がついた後に、甲状腺ホルモンの値から薬の量を調整します。治療開始してしばらくの間は診察の都度血液検査が必要になります。
甲状腺腫瘍の基本的な治療は手術です。当院では手術は行えませんので、腫瘍の大きさによってはしばらく当院で経過観察を行い必要に応じて近隣医療機関に紹介させていただきます。